がらん、と空になってしまった部屋。
紅茶を淹れる練習をする、と言ってくれた彼女。
その練習をしていたのだろうか。
紅茶の香りがまだ仄かに香る。
彼女が部屋から出て来なくなった日から、
何時かこんな日が来るのではないかと思ってはいたのだが。
其処に「居た」筈の彼女が消えてしまったかのように思えて。
寂しいものだな、矢張り。
思えば短い間だったが、楽しい日々を有難う。
城のお化け達も君の事、凄く気に入っていたようだった。
君のほうが数倍可愛いというのに、人のことを可愛い可愛いと・・・クスクス。
・・・楽しかった。本当に。
もし、帰ってきたなら。
いつでもおいで。
この部屋の鍵はずっと、変えないでおくから。
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