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見慣れない天井が目に入って来る。

身体の節々が痛む。
気がつけば床で雑魚寝をしていたようだ。
寝惚けつつも起き上ろうとすると、腹部に違和感。

・・・・足、だ。

「――――重い」
自身の腹に蹴りを入れている足を勢い良く振り払うと、今度は頭に鈍い痛みが走る。
酷く喉も乾くので、目に付いたグラスに口を付ける。

が、それは誤った考えだったのだと直後に思い知る。
鼻につくアルコール臭。それもかなり度数の強いもののようだ。
水と思いこんで一気に飲み干してしまった男は思わず咳込んだ。


それで眠気も覚めたようで、徐々に昨夜の出来事を思い出してくる。



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「否、そのような表現は適切では無いな。」

「そう、それは余りに短絡的な発想であって」

「非常に、ナンセンスだ」


認める訳にはいかなかった。
認めてしまってはいけない気がした。
―――――道に迷った、などとは。



「大体、ハァ・・これは果たして・・ゼェ・・道なのか?」
男は山道に落ちていた木の枝を杖代わりに、重い足を引き摺りながら呟く。
腕を捲られたワイシャツ、完全に解けてしまっているネクタイ、暑そうなベスト。
山登りに全く不向きなその格好も問題といえば問題だが、
一番の問題は己の体力の無さだ。
不健康な生活を続けていた自分が恨めしい。

無論、元々は馬車を走らせていたのだ。
然し当然ながら狭い山道を走れる訳も無く、渋々馬車を降り こうして歩いている。
目的地を漠然としか知らぬ儘に遣って来たのがそもそもの間違いだった。
男は一つ大きな溜息を漏らすと、一枚の手紙を取り出すと文面へと目を落とした。


分からなくなる

この思いを何と呼べば良い?
辞書を引いて調べても、上手く表現出来る言葉は見当たらない。
この思いを何処へ運べば良い?
紐を掛けて仕舞っておけるのか?それで本当に良いのか?

何とも称せぬその感情が頭を支配した時、
仮面を被って。素顔を隠して。
そんな俺にとっての「日常」を過ごすことが出来るのか。

確かめたい。
分かっているつもりで居ても、段々と分からなくなってしまうんだ。
確かめるのは怖い。
思い知らされてしまうのは嫌だ。

臆病で傲慢で卑怯な俺は
答えを知りたくて、けれど知らない振りをした方が遙かに楽で。
結果、その葛藤を暗闇へ棄ててしまうのだ。




「理解出来ない。それだけが唯一、判明してること。」
黒猫が、目を伏せながら重く呟く。


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